子どもと駆け引き

ウチの塾に、インターナショナルスクールに通う小学2年生の男の子がいる。

 

インターナショナルスクールは、学校や両親の素質にもよるけれど、日本人の子どもにはかなりシンドい環境。授業は受け身の姿勢だと絶対追いつかない。フォローアップは親任せ。ウチの近所のインターナショナルスクールではある学年の男の子がついて行くことが出来ずに全員辞めるといった事態に。

 

そんな虎の穴に通うその男の子。彼も学校の勉強について行くのが大変なようで、

「勉強キライ。学校つまんない」

といつも言っている。

母親はそんな彼を教育出来るほどのスキルはなく、ただ「勉強しなさい!ちゃんとしなさい!」とどやしつける日々。

 

その子はその母親のことをいつも「うるさいんだよな。ママは。わけわかんないことばっか言うんだよ」とうんざりしたような顔で言う。

 

その子は学校や家での鬱憤を晴らす為なのか、授業中はとにかく落ち着きなく、集中できていない。関係ないおしゃべり、筆記用具で遊びだす、先生にちょっかいをかける、机の下に潜り込む等。

 

私がたしなめると、「はーい」といってキチンと座るけれど、目を離すとすぐに元どおり。

 

ウチの塾では授業が終わった後、生徒に復習をさせる。その子をまともに相手できるのはウチの教室では私くらいなので、その子の復習はいつも私が見ている。

 

私が最初に彼に具体的に指示を与えて、彼は初めはおとなしく言った通りに復習をしだす。私が目の前にいると、彼はちゃんとやろうとするので、少しの間はそれで持つけれど、それもやがて限界が来て、おしゃべりやおふざけが始まる。

 

私はそれを笑って受け入れながら、ある程度泳がせている。コントロールしようとせず、泳がせながらこちらへ惹きつける工夫や話し方を心がける。

 

彼の心がこちらへ向いてきたら、再開。

ただしそれでも後半はぐずりだす。そんなときは、私は一転して相手をしなくなる。

「君がそういう風ならしょうがない。途中だけどもうやめていいよ。帰っていい。私は頑張る子しか相手にしないからね。どうする?続ける?やめる?」

と穏やかで冷ややかな口調でそう言う。

 

そうすると、彼は顔色を変えて、

「やる」

と言ってやりだす。

 

こういった押し引きの駆け引きは、恋愛のそれとよく似ていておもしろい。教育の仕事をしていて、肝心なことは、「やらせる」ことじゃなく「やりたくさせる」こと。

 

まぁこの場合は「やりたくないけどここで投げ出すのはかっこ悪いかも」と思わせただけだけど(笑)それでも「自分の意思」としてそれを選択して実行するというのが大事。

 

少しだけ、コツをつかんできたかな、と最近思う。

(#゚ロ゚#)たぶんね。