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たし算とひき算

この前は中学3年生になる男の子の三者面談をした。その子は学校の成績は下位層にいるけれど、そんななかでも徐々に成績を伸ばしていた。

「やれば出来る子」YDK。「やらないから出来ない子」YDK。これまで勉強をおサボりしてきた子なのです。

 

そして反抗期。三者面談では母親に「うるせぇ、黙ってろ!」などと乱暴に言い放つ。

「はい、暴言はかなーい(#゚ロ゚#)」

とやんわり介入(笑)

 

その子は工業高校に行きたいのだそう。車に興味があるからと。母親は言った。

「この子が工業高校に行きたいって言ってるのは今の自分の成績で入れるところがそういうところしかないからそう言ってるんです!」

 

まぁそうなのでしょう。

車に興味があり、車関連の仕事に就きたいなら、一番なりやすいのは整備士。整備士は大手系列の専門学校さえ出ていれば99%なれる。その職種は今売り手市場なのだと、今トヨタ系列の販売店でサービスエンジニアやってる私の兄は言っていた。

 

私の兄は大学進学せず、専門学校に入ってそのまま就職し、今では綺麗な奥さんと可愛い子供二人を抱えるお父さんやってるけれど、過去を振り返ると「おれは後悔してるからね」だそう。早くから道を狭めてしまったこと。専門学校ではなく、大学に行っておけばよかったと。

 

私はその子に私の兄の話をした。兄は「工業高校に行くのはやめたほうがいい」と言っていたのでそれも伝えた。

 

「工業高校」というレッテルに対する世間の冷たい目があることも伝えた。それを抱えるだけの価値を、その工業高校にあなたは本当に見出しているのか、と問うた。

 

「いいえ」

だった。だよね(笑)

 

その子は友達がこう言っていたから、とか、オメェが朝ごはん用意しねぇからやる気しねぇんだ、とか、色々言い逃れをしていた。

 

お母さんは息子に対してウンザリしている様子だった。

「この子はほんっと分かっていないんです」

「そんだけの力なんてないでしょう?何言ってんの?」

「もういいから黙ってて。恥ずかしいから」

 

うーん。確かに私でも多少イラっとする感じの子ではあるけれど、それは言っちゃダメだ。言いたくなる気持ちは痛いほど分かるけどね。

 

最後に当面の自主学習の課題と、目標を見定めて、私から最後に

「お母様は、彼に対して何も言わなくて大丈夫ですよ。彼がこれからやることを信じて見守っていてあげてください」と伝えた。

「ん〜あたしつい言いたくなっちゃうんです〜!言わないように気をつけます」

と言っていた。きっとお母さんも、こんなことを言いたくなんかないだろうに。心中を察して胸が痛んだ。

 

子供は生まれるとたし算式に愛情を与えられる。そして成長していき、ある段階から愛情がひき算式に変わる。

 

「何をしてあげるか」「何を言うか」を考えていたところから

「何をしてあげないか」「何を言わないか」を考えるところに変わっていく。

 

中学3年生、15才。

ひき算の教育を必要とする年代。

 

お母さん、どうかそこをグッとこらえて。

喉の奥をキュッと締めて。

たし算ではなく引き算を。