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愛される子

うちの生徒でSちゃんという高校1年生の女の子がいる。

その子はよく笑い、よくしゃべる。
ピーナッツみたいなつぶらな瞳をきらめかせて、心のままに喋りたいことを片っ端からしゃべる。

ちなみにウチは個別指導塾で自習室は私語厳禁。静かな空間にその子の明るく高い声はよく響いて、その子はよくオーナーから注意を受けてる。あたしもよく注意する。

でもその子はなんというか、可愛いのだ。

見た目とかでなく、なんというか、素直で、おっちょこちょいだけれど、自分の主張はハッキリしてて、とても寛容。

あたしはその子が可愛くてならなくて、つい構いたくなる。

問題が分からなくて困ると、彼女は目であたしを呼ぶ。磨りガラスの衝立が各テーブルにあるのだけど、その上から首を伸ばして、ミーアキャットみたいに背筋を伸ばして、瞬きもせずにこちらをじっと見つめてくる。

その様がおかしくて可愛くて。

きっとこの子は周囲の人に愛され、守られながら、幸せに生きていけるだろうと、若干の嫉妬を滲ませつつ(笑)、あたしはその子を見守っている。

愛される才能を持つ子。可愛い子。
自分の冷たさや暗さと対照的で、その存在を眩しく感じる。

前の職場では、そうだったんだけどな。明るく楽しく、みんなから暖かく迎えてもらえて、信頼関係が確かにあった。今はなんだか冷えた気持ちになることが多い。信じてもらえていない。このことだけでも今の職場を去りたい気持ちにもなる。わがまま?甘え?

何も認めてもらえていない感じ。それを望んでいたわけではないけれど、さすがにここまで働いていて、信頼されていないと、もういいやとつい手放したくなる。

あたしは待遇や休日の保証とか、そういうのに別にこだわりはない。ただ一緒に働く仲間とは、暖かい関係を築きたい。何だか今は、気持ちが悪い。居心地の悪さが取れない。

いや、違うかな。
単純に淋しいのかも。今の職場。
子供っぽい甘えかなぁ。

心から笑えたあの頃が懐かしくて遠い。
淋しいなぁ。