怒りの理由

あたしは仕事には、営業時間開始前の2時間以上前に来て、その日の準備をしてる。

どの準備が一番大変で時間を食うかと言えば、やっぱりそれは生徒たちの授業の準備。普通他の塾では、担当のアルバイト講師が自分で授業の準備をしたり、子供らのカリキュラムを作ったりするのだけど、ウチの会社の方針として、アルバイトの先生らにはなるべく負担をかけず、気持ち良く働いてもらうために、そういった事務は、あたしら正社員が引き受けている。

というか、準備についてはあたしがほぼ全部やってる。前はもうひとりいる正社員も一緒にやってたんだけど、その人は教務関係専門になって、もう自分の授業の準備しかやらなくなったから。

ただ、冬期講習期間中、その準備をひとりでやってたら、4、5時間はかかった。ぶっ通しでやっても。疲労が凄くて、よく体調を壊さなかったと自分で感心するほどだった。

それで社長が、あたしにかかる負担を減らそうと、冬期講習が終わったら落ち着くからということで、もうひとりの正社員Sにあたしの仕事を手伝うよう要請をかけた。本人もそれを了承して、今後はあたしの負担が減るかに見えた。

けれどあたしは全く期待を持てなかった。というか持たなかった。その人は朝に弱く、自分の授業にさえ遅刻してくるような、ズボラな人間だったから。そんな頼りにできない人間の手助けなんか見込んでいたら、準備は間に合わないし、自分がイライラさせられるだけだと分かっていたから、期待をあえてしなかった。

それで予想通り、その人は準備に来なかった。あたしの負担は変わらなかった。最初は特に何も思わなかった。期待していなかったから。想定の範囲内。驚くべきことでも、憤ることでもない。

ただ、あたしはそのSという男の行動をしばらく見ていて、ある結論に達した。
そして、その自分が導き出した結論に対して、猛烈な怒りが湧き、そして大いに失望した。

( 」゚Д゚)」To be continued!!