だからってどうというわけじゃない

「あんたには教育というものに対する信念はないのか」

先日、ウチに最近入塾した子の祖父にあたる人から、電話口で言われた言葉。

信念。ないなぁ(笑)
でも「ありません。そんなもの」とでも答えようものなら、おじいさんの火に油を注ぎそうだったので、私は少し沈黙を置いて、それに答えることもなく、話を本筋に戻した。

信念ね。前はそれを持っている気になってたし、それを守るために色んなものを踏みつぶしたな。何のための「信念」なのか。

それを持ち、貫くことで、何を生み、何が守られ、何に貢献するんだろう。私が相手にしているのは、絵画とか、焼き物とか、そういう精神を突き詰め、貫いた先に生まれる結晶などではない。

私という個人とは完全に切り離された、そもそも繋がったことさえいない、独立した意思と心のある人間なのだから。

私はその一つ一つの関係を全く別々に扱っている。だから、そこに一貫した「信念」なるものが存在しようもないし、あっても邪魔なだけ。

私にはその時、その瞬間、その相手との間にあるものを見ている。その場に流されているだけ、かもしれないけど(笑)臨機応変というのとも違うからな、あたしの場合は。多分。自分の言動、対応が適切かどうかなんて、自信がないもの。

「最善の策」だと思って動いていない。ただ、感じて、動いてる。人間として。

これは美談でもなんでもない。反省でもない。結論もない。なんでもない話(笑)